避妊について

診療内容

【月の半分以上を、月経関連症状に悩まされている女性に!】

月経時には、月経痛(下腹部痛や腰痛)、頭痛、吐き気、不快な出血などのトラブルが起きます。
さらに、月経前に、いらいら、気持ちの浮き沈み、頭痛、下腹部痛などの心身両面に不調をきたす方もいます。これを、月経前症候群と言います。これらの月経中や月経前の不快症状は、長い方だと2週間以上に及ぶことがあり、実に1か月の半分以上を月経関連症状に悩まされながら過ごすことになります。

【中長期にわたって月経をコントロールし、
          不快症状も軽くしたいなら「低用量ピル」】

月経をうまくコントロールすることで、月経痛や月経前症候群などの不快症状を最小限にして、受験やお仕事や日常の家事などを効率的におこなえるようになっていただきたいです。
そこで、低用量ピルや超低用量ピルです。
含まれるホルモン量が中用量ピルの半分程度もしくはそれ以下と非常に少なくなるため、副作用が起こるリスクが少なくなります。
オリンピック選手などトップアスリートの多くも使用しており、ドーピングにも引っかからない、リスクの少ない薬剤です。
トップアスリートの多くはピルでうまく月経をコントロールしながら日々の練習を積み重ね、大きなプレッシャーのかかる本番で実力を発揮しています。
薬に慣れるまでに1~3か月程度かかることもありますし、治療の効果や副作用には個人差もありますので、少しでも早い時期から始めていただくようお勧めします。

【さいごに】

女性は毎月の月経と向き合わなければいけません。
月経に伴うストレスを最小限に抑えて本来の実力を発揮できるよう、産婦人科医の立場からお手伝いさせていただきます。詳しい説明や治療を希望される場合は、当院にご相談ください。
治療を希望される場合、問診・血圧計測や血液検査を行い、必要に応じて処方をいたします。

【ピルに対する誤解や偏見】

低用量ピル(OC)は健康な方が服用する薬です。
日本人は健康な方が使用する薬剤に対してかなり慎重に考える傾向が強いです。
インフルエンザワクチンなどでも同様ですね。
あまり効果は期待できなけれども副作用の心配の少ないサプリメントの摂取には大変好意的ですが、低用量ピル(C)に対してはいまだに誤解や偏見が多いようです。

ここで、低用量ピルに対する誤解を解いていきましょう。

誤解その1.
ピルを服用するとがんになる。
…以前はピルと乳がんの関係が指摘されていましたが、最近の報告では低用量ピルで乳がんが増加するとは考えなくてもいいとされています。
その一方で、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんは明らかに減少することがはっきりとわかっています。
低用量ピルにはがんを予防する効果も期待できると言えます。

誤解その2.
ピルを服用すると将来不妊症になる。
…これもとんでもない間違いです。
一定期間ピルを服用することによって卵巣機能が改善することが多いです。
不妊症や生理不順の治療としてピルを服用していただくこともあります。
ピルを服用しておくほうが不妊症にはなりにくいことも分かっています。
ピルの服用を中止すれば2ヶ月程度で排卵が再開しますので、すぐに妊娠を考えていただくことが可能です。
将来の妊娠にマイナスに作用する心配は全くありません。

誤解その3.
ピルを服用すると太ってしまう。
…ホルモン含有量の多いピルでは体重増加の副作用があることが知られています。
でも、低用量ピルによる体重変化は1-2キロ程度で、日常生活の範囲内の変化と同等です。
低用量ピルで体重が増えることはないと考えて結構です。

誤解その4.
ピルを服用するとずっと続けないといけない。
…ピルをお勧めするとほとんどの方がこれを心配されます。
でも、実際に低用量ピルを服用している方にアンケートをお願いすると、『このまま長く続けたい』というお答えが非常に多く見受けられます。
実際に低用量ピルによる効果を実感すると、もう手放せなくなってしまうようです。
ピルをやめたければいつでもやめていただけます。
だまされたと思って3ヶ月服用していただくようお勧めします。
実際に服用された8割くらいの方は、アンケートに上記のようにお答えされるでしょう。
効果を実感された方には、『ピルはずっと続けてもいいのですよ』と説明しています。

【低用量ピルの効果】

ほぼ確実な避妊効果が続く
『生理が来ない…』という不安から解放されます。

生理周期が28日程度で安定する
仕事や旅行の予定が立てやすくなります。
服用方法を変えるだけで簡単に生理の時期をずらすことができます。
これはピルが最も得意とすることの一つです。
受験生には特にお勧めします。
もちろん心配のない安全な方法です。

出血量が減る
不快な思いをせずに済みますし、貧血も改善されます。

生理痛や月経前症候群(PMS)が改善される
痛みをとるだけの鎮痛剤とは違って、ピルは生理痛に対する根本的な治療と言えます。
鎮痛剤の併用も可能ですし鎮痛剤の使用量が減ります。

にきびや吹き出物が減る
肌の状態には女性ホルモンが大きく関係します。

卵巣がんや子宮体がんが減少する
先ほどもお書きした通りです。
ピルの服用により排卵が抑制されることが関係します。
何と、ピルを中止してからもその効果は継続します。

【低用量ピルの副作用】

低用量ピルにも副作用が起こる可能性はあります。
しかし非常に軽い一時的な副作用と考えてください。

頭痛やむかつき
…10人に2人くらいです。数日で治まることが多いです

胸の張り
…生理前のような張りを感じることがあります。

不正出血
…少量の不正出血が起こることもあります。
心配なものではなく服用を続けているうちに治まることが多いです。

血栓症
…ピルを服用するうえで最も重大な副作用です。
しかしながら滅多に起こらないものです。
あまり知られていないようですが、女性は妊娠すると血栓症のリスクが高くなります。
それと比較すると、低用量ピルによる血栓症リスクは半分から6分の1程度と言われています。
日本人と比べて欧米人には血栓症が多いのですが、ドイツのピル普及率は50%、イギリスでは30%と非常に高いです。ちなみに、血栓症が少ないとされる日本のピル普及率はようやく3%を超えたばかりです…

当院では服用禁忌に該当しないかどうかを確認し、血圧を確認しながら処方していますのでご安心ください。